一記一遊ブログ

大学生活の中で起こった日々の出来事を日記形式で書き溜めていくブログ。現在1回生。

数理工学 〜カオスと脳〜

今日はゴールデンウィークの一員でありながら、普通に授業がある日だった。ミスト状の雨が降っていた(というか舞っていた)ので、自転車は諦めてバスを使うことにする。朝エレベーターに乗り合わせた同じマンションの人から「カッコいい髪型してるね!」と褒められたのは、平静を装っていたがかなり嬉しかった。今までの僕に足りなかったピースは堅めの整髪料だったのだ。

初めは「数理工学概論」の授業を受けた。この授業は、情報学科のうち、プログラミングだけでなく数学や物理にも力を入れる数理工学コースから、何人かの教授がリレー講義をしに来るというものだ。情報学科は2回生から2つのコースに分かれるのだが、その選択をするための味見用授業というわけだ。

ここまでの内容は、人間の脳と現在の人工知能を比較することで、人工知能をもっと発達させる方法を考えていくというものだった。具体的には、脳は、ニューロンが相互作用することで働いており、入力から出力への一方通行ではなく、逆向きに作用したり、内容を飛躍させたりしているのがポイントみたいだ。そういう複雑なはたらきをダイナミズムというらしい。それをいかに再現できるかが人工知能の発達において重要なのだ。

今日はさらに、そのダイナミズムの一例として、同期現象が紹介された。振動が伝わりやすくした板の上に何台かメトロノームを置いて、別々のタイミングでスタートさせると、だんだんとその振れ方が揃ってきて、最後には完全に同じタイミングで振れるようになるというものだ。これは結構感動したな。正確にリズムを刻むはずのメトロノームが並べて置いているだけで互いにタイミングを合わせにいくというこの不思議。板を通して振動が微妙に伝わり、複雑な相互作用のもと、同じタイミングとなるような方向に力が働くらしい。人間の歩くタイミングとかも揃うことがあるようで、この現象の普遍性がうかがえる。

その後、それを数理的なモデルとして、コンピューターシミュレーションすることになった。やはりこの数理モデル化こそが数理工学の柱なのだろう。相互作用の強さを変えられるようになっていて、モデルの性質を調べることができる。

実行結果 上と下では相互作用をわずかしか変えていない

上の方では1本1本の線が最終的に一つの線へとまとまっているが、下の方では線が無秩序に入り乱れている。下の方がいわゆるカオスという状態だ。

ここから分かるのが、この、「相互作用の強さをわずかに変えただけで秩序、無秩序を切り替えられる」という仕組みが脳でも使われているということだ。脳内が完全な秩序なら入力に対して決まった出力しかできない一昔前のロボットのような人になってしまうし、脳内が完全なカオスなら知的なはたらきなど無理だろう。この間を縫うような部分がこの高度な思考を可能にしているのだという。面白い。

数理工学コースも面白そうだなと思ったが、今日ついに外部ディスプレイがお父様から授けられてそれでunityを触っていたのがめちゃくちゃ楽しかったので、まだ数学と物理を選ぶ気持ちにはならなかったな。